学習パズルは、なぜ勉強に役立つ?
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生徒の注意力が散漫で、集中力が続かない。
こういった場合、注意障害のリハビリの方法が役に立つかも知れない。
注意障害というのは、外傷や脳卒中などで脳が傷んだ結果で起こる障害だが、集中力が無い子供にも似たようなことが起こる。
なので恐らく同じ方法が、生徒の注意力・集中力アップに役立つのではないか。
そしてこれがまた、算数パズルや学習パズルが頭を良くするのに役立つ根拠でもあるのだろうと思う。
ということで、簡単な集中力トレーニングの例をまとめておく。
持続性注意力トレーニング
目的:注意を一つのものに向け続ける
※キャンセレーションとは「抹消」のこと。
キャンセレーション訓練(数字)
ランダムに並んだ数字の列の中から、特定の数字を見つけて斜線で消していく。最初は1コから始め、増やしていく。(例:2と5と8を探して消す)
100から引き算
口頭で、100から1ずつ引いていく。次は2ずつ、3ずつと難しくしていく
集中力が無いときは、すぐに疲れる状態(易疲労性)なので、休み休み行う
選択性注意力トレーニング
目的:雑音や邪魔があっても、注意を向け続ける訓練
妨害付キャンセレーション訓練
準備:ランダムに数字や文字、図形を並べた用紙を用意する。
- 数字のキャンセレーション、図形のキャンセレーション…雑音がある状態で行う
- 数字のキャンセレーション、図形のキャンセレーション…斜線付用紙など、視覚的な妨害月で行う
ストループ課題
準備:様々な色で書かれた漢字・ひらがな・文字・数字の表を用意する(例:赤い色で「緑」、青い色で「黄」など)。
- 漢字の色を答える…赤い色で緑と書かれていたら「あか」と答える。
- 文字種を答える…「かんじ」「ひらがな」「カタカナ」「すうじ」と答える。
APT訓練のやりかた
転換性注意力トレーニング
目的:必要に応じて注意を切り替える
・持続性注意の課題を15秒ごとに切り替えて実施
数字・偶数/奇数・図形・切替抹消
加算/減算切替計算
高中低切替音読
漢字・ひらがな切替音読
平仮名・カタカナ切替かなひろい
数字の順唱・逆唱、曜日の逆唱、単語の逆さ書き
分配性注意力トレーニング
目的:2つの対象に同時に注意を向ける
聴覚性のものと視覚性のものを同時に行う
APTの原則
① 正答率50%程度の難易度課題を選択
② 訓練開始
③ 1週間4〜5セッション、4〜10週間施行
④ 難易度を細かく分け負荷をコントロール
⑤ 正当率が3回連続85%以上、
あるいは時間が当初の35%以下でレベルアップ
⑥ 誤りなしとスペードアップの双方を目指す
軽度例用APTⅡ、APTⅢ(1992) もあります。
注意障害のリハ | その他の注意トレーニング
ドリル/プリントの利用
間違い探し、迷路、ジグソーパズル、クロスワードパズルなど
川島隆太監修「もっと脳が活性化する100日間パズル 」学研、2012 ¥680など
audio-motor method
動くベル音やライト光の追視や特定音の同定をする。
各認知・記憶・構成・言語・判断課題
音読、復唱、計算、音読後QA、模写、点むすびなど
ADL反復訓練(学習転移治療法)
更衣・整容など日常生活動作の反復を通して改善を図る
身の回り品の整理整頓、声かけによる行動の促し、集中環境の準備