10歳までは、どうしても理解できないことがある
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子供は、成長して時期が来ないとどうしても理解できないことがある。
これは「ロバスト性」と呼ばれる現象だ。
ロバスト性とは「頑強性」と訳されるが、外からいくら働きかけても、頑として変わらない性質のことだ。
たとえば幼稚園児くらいの子供は、時間の概念がまだよく分からない。
「1時間だけ待とうね」と言い聞かせても、「まだ?」「まだ?」と何度も尋ねてくる。
幼児にとって、1時間が何を意味するのか分からないので、何をどうすれば良いのか尋ねるのだ。
ロバスト性があることは、一定の年齢になるまで、いくら教えても、理解できない。
というのも10歳未満の子供の脳というのは、発達途上で、大人の脳とは違うからだ。
子供の脳は、赤ちゃんから3歳くらいまで、神経細胞の数がどんどん増えていく。
さらに3歳から7歳までの間に、使われていない神経細胞が自壊して、神経細胞が整理されて数が減っていく。
さらに7歳から10歳くらいまでの間には、、残った神経細胞が盛んに成長して、他の神経細胞とどんどんつながっていく。
これによって抽象的な事が、徐々に理解できるようになっていくわけだ。
神経細胞はその後も死ぬまで成長するが、盛んに成長するのは25歳くらいまでらしい。
脳の発達は、ある程度待たねばならないが、栄養素不足はまずい
人間の脳は、生まれて3歳くらいまで、脳の神経細胞の数がどんどん増えていく。
脳の重量も、5歳までどんどん重くなる。
そして3歳から7歳くらいまでの期間は、爆発的に増えた神経細胞の数が減る「間引き現象」というのが起こる。
最初はとにかく神経細胞の数を増やしたが、不要で使わない細胞は自壊していくらしい。
これを「アポトーシス」と呼ぶ。
さらに7歳から10歳くらいまでの間に、神経細胞がどんどん成長して、他の神経細胞とつながっていく。
そうして20歳くらいになると、脳の重量は増えなくなり、25歳くらいになると、脳の神経細胞の成長も穏やかになる。
つまり10歳くらいまでの子供の脳は、難しいことを考える機能が育ってないのだ。
だから脳がまだ発達していない段階では、いくら根気よく教えても理解できないわけだ。
子供の脳というのは、こういうロバスト性があるので、10歳未満の子供に、勉強をいくら教えても、大人になったら全然覚えていなかったりする。
なので子供が難しい事が理解できなくても、無理に何度も教えるのではなく、もう少し成長を待つ必要がある。
小学校四年生以降の勉強は、10歳になるまで教えても、あまり身につかないのだ。
ただし子供の発達が遅れるのには、別の懸念もある。
それがDHAとアラキドン酸という、脳の成長に必要な栄養素不足だ。
脳というのは、大まかに言うと、タンパク質と脂肪でできている。
脳の細胞は約1割が神経細胞で、9割がグリア細胞という細胞だ。
神経細胞は電気信号が走り、グリア細胞は神経細胞を護ったり、必要な栄養を神経に送ったりする。
この神経細胞に必須の材料がDHAで、グリア細胞に必要なのがアラキドン酸だ。