血液脳関門 脳に届く栄養素は限られている
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頭が良くなるという栄養素には、様々なモノが挙げられている。
ただし脳のニューロン(神経細胞)には、限られた栄養素しか届かない。
そのため、直接的に頭を良くする栄養素は、非常に限られた物質だけだ。
というのも脳の毛細血管の血管壁は、ウイルスや病原菌を通さないように、特別に密にできているため、大きな分子は通りにくくなっている。
またニューロンは電気で信号をやりとりするため、毛細血管に接触して漏電しないようにアストロサイトというグリア細胞が、間に入って物質をコントロールしている。
ニューロンはアストロサイトから必要な栄養素を受け取り、アストロサイトは毛細血管からそれを得る。
だから脳の毛細血管の血管壁とアストロサイトを通ることができない物質は、ニューロンには届かない。
これを「血液脳関門」と呼ぶ。
ではどんな物質が、血液脳関門を通過できるのかというと、だいたい次のような物質だ。
- グルコース(ブドウ糖)やケトン体
- アミノ酸や低分子タンパク(ペプチド)
- DHA、アラキドン酸、コリン(レシチン)
- 脂溶性ビタミン(A、D、E、K)
- グルタミン酸、アスタキサンチン
- アルコール、カフェイン、ニコチン、抗うつ剤
ブドウ糖やケトン体はニューロンのエネルギー源だ。
ブドウ糖は炭水化物から作られ、ケトン体は脂肪から作られる。
因みに人間の脳が一日消費するブドウ糖は、炭水化物換算で約120グラムくらいらしい。
食べ物で言うと、牛丼一杯分で、オニギリなら3コくらいになる。
一日3食食べるなら、一食あたりオニギリ1個分くらいだね。
レシチンとトリプトファン
脳は大事な器官だから、病原菌やウイルスに感染しないように、毛細血管の壁は特に密になっている。
また神経細胞が安定的に動くように、毛細血管とニューロンの間に、アストロサイト細胞が介入していて、特定の物質しか通さないようになっている。
これを「血液脳関門」と呼ぶ。
この血液脳関門を通過できる栄養素に、脳に良い栄養素があるわけだ。
そこで注目されてるのがDHAやアラキドン酸という脂肪酸(油)だ。
さらに注目されているのが、レシチン(ホスファチジルコリン)や、トリプトファンという物質だ。
レシチンは、体中の細胞にある物質だが、水と油をくっつける働きを持っている。
水と油は通常、混ざらないものだが、親水基と親油基を持っていて、上手く仲を取り持つ働きをする。
そのため、脳や肝臓などで重要な働きをしていて、不足すると様々な症状が現れる。
レシチンを多く含む食品としては、卵黄や大豆が上げられる。
またトリプトファンは、睡眠に良いとされている必須アミノ酸で、セロトニンという神経伝達物質の材料になる栄養素だ。
トリプトファンを多く含むのは、肉や魚、鶏卵、乳製品、大豆などだ。