脳の発達段階と栄養素
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子供の脳は10歳くらいまでは、あまり抽象的な思考ができない。
モノを比べることも難しいし、面積や体積と言った概念も、まだまだ理解できる能力が無い。
脳の神経細胞が十分に発達しておらず、速さや濃さと言った概念は、中々理解する事ができないのだ。
というのも脳は、3歳くらいまでは、神経細胞の数がどんどん増える。
これは何にでも対応できるように、とにかく数を準備しておくためらしい。
しかし3歳から7歳くらいまでの間に、脳の神経細胞の数が逆に減っていく。
これは「間引き現象」と呼ばれ、使われない神経細胞が自壊して、使われている神経細胞だけ残るらしいそして7歳から10歳までの間に、残った神経細胞が腕を伸ばし、別の神経細胞とどんどんつながっていく。
こういう風にたくさんの神経細胞と複雑に連結することによって、面積や体積、速さや濃さなどの抽象概念が理解できるようになるらしい。
、なので10歳未満の子供に、こういう抽象概念をいくら教え込んでも、頭に定着しないし身につかない。
これは「ロバスト性」(頑強性)と呼ばれる、子供の時期に特有の性質だから、教師や親がいくら頑張ってもムダだ。
成長期には優先すべき事があり、それが終わってからでないと、次のステップに進むことができないのだ。
これが脳の発達段階なのであるが、栄養不足によって脳の成長が遅れることもある。
その鍵となるのが「DHAとアラキドン酸」だ。
DHAはオメガ3系統の脂肪酸(油)で、アラキドン酸はオメガ6系というの脂肪酸。
どちらも「油」だね。
アラキドン酸は、過剰なのか不足なのか?
脳は、タンパク質と脂肪でできている。
そのため、脳が発達するには、タンパク質と脂肪が欠かせない。
特に重要なのがDHAとアラキドン酸だ。
脳の細胞には大きく分けて、神経細胞(ニューロン)とグリア細胞という、2種類の細胞がある。
DHAはニューロンに必要な材料であるs、アラキドン酸はニューロンとグリア細胞の両方に必要な材料だ。
そのため、幼児期にDHAとアラキドン酸が不足すると、脳の発達が遅れることがよく知られている。
そのため、最近の幼児ミルクには、必ずDHAとアラキドン酸が添加されている。
またアンチエイジング対策用のサプリでも、DHAとアラキドン酸はよく使われている。
DHAは魚に多く含まれるEPAという油から体内で作られる。
アラキドン酸は肉や魚、卵に多く含まれる。
もっと具体的に言うと、卵と、魚と、レバー、そしてワカメだ。
ただしアラキドン酸は人間の体内で、サラダ油に含まれるリノール酸を原料として3段階を経て合成できるため、不足ではなく過剰だと主張する人も多い。
アラキドン酸はオメガ6系統の油で、アトピー性皮膚炎などの炎症を強くする働きも持っているからだ。
そのため、揚げ物やサラダ油などで、リノール酸を摂りすぎていないかどうか、普段の食生活を省みる必要がある。
脳に必要だからと言って、アラキドン酸をサプリで摂るのは避けたい。
あくまでも卵やワカメ、魚やレバーから、アラキドン酸を摂りたいところだ。
ただし幼児や高齢者は、リノール酸からアラキドン酸を作る能力が低いので、不足している可能性もある。