依存症になる仕組み

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90年代後半から、急速に発達したセンサーと脳内スキャン技術。

 

これにより、依存症患者の脳で、何が起こっているのかが、少しずつ分かってきた。

 

現代の脳スキャン技術では、脳のどの部分の血流が増えているか、コンピュータ・グラフィックス(CG)で、キレイに表示できるようになった。

 

たとえばモノを見せたり食べたりしたときに、脳のどの部分が反応するのか調べたり、ギャンブルやゲームをしている最中に、脳の活性度から興奮状態を、大雑把であるが観察出来るようになった。

 

その結果分かったことは、快感を感じると中脳にあるVTA(腹側被蓋野:ふくそくひがいや)から、側座核(そくざかく)に電気信号が走り、側座核からはドーパミンという脳内物質が放出されるということだった。

 

VTA(腹側被蓋野)の図解
ドーパミンは、やる気物質と呼ばれるアドレナリンやノルアドレナリンの材料で、これらは血圧を上げ、血糖値を上げ、戦ったり逃げるための準備をする。

 

アドレナリンが出ると、眠気が吹っ飛び、集中力が高まり、不安やイライラも吹っ飛んだりする。

 

この仕組みを「快感回路」とか「報酬系」などと呼ぶのだが、何か悩み事があったりすると、快感回路を活性化するような、「何か」に何度も手を出して、それで依存症になるわけだな。

 



依存症も、一種の「学習」

快感回路・報酬系に、何らかの刺激が加わると、ドーパミンという物質が放出され、不安やイライラが吹っ飛んだりする。

 

この興奮を起こす仕組みを司るのが、グルタミン酸シナプスで、ドーパミン系などとも言われる。

 

一方、逆に興奮を抑える経路もあって、それを司るのがGABAシナプスで、セロトニン系などと言われる。

 

ドーパミンは「やる気を生み出す」脳内物質で、血圧を高め、血糖値を高め、戦う準備をする。

 

逆にセロトニンは、ドーパミンの過剰を抑え、冷静な判断ができるように振る舞う。

 

この二つがバランス良く動いているときは、自分で自分をコントロール出来ている。

 

ところが依存症になると、興奮を引き起こす仕組みが強まって、不安やイライラが起こると、依存対象のことをすぐに思い出すようになる。

 

これを長期増強(Long Term Potentiation:LTP)と呼ぶのだが、要するに「学習」するわけだ。

 

不安やイライラしたら、甘いモノを食べれば良いとか、タバコを吸えば良いとか、酒を飲めば良いとかいう風に脳が学習する。

 

一方、逆に興奮を抑える仕組みは弱くなる。

 

これを長期抑圧(Long Term Depression:LTD)という。

 

長期抑圧がセロトニン系で起こると、ドーパミン系の暴走が制御出来なくなり、不安が不安を呼んで、キレたり暴れたりするということらしい。

 

そして実は、快感回路・報酬系を刺激するのは、酒やアルコール、タバコや甘いものに限らない。

 

こういう物質的なモノがなくても、快感回路・報酬系を刺激することができる。

 

ギャンブル依存や恋愛依存、ゲーム依存やインターネット依存でも、脳が同じように反応してしまうらしい。

 


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