注意障害のリハビリ 集中力アップトレーニング
更新日:
集中力が無い、集中力が続かない、すぐに気が散ってしまう。
こういうことは、勉強ができない生徒の特徴として、よく挙げられる。
ところが同じ事は、高次脳機能障害の注意障害でも起こる。
高次脳機能障害とは、脳に外傷を負ったり、脳卒中(脳出血)・脳梗塞等によって、脳の一部が破壊された時に起こる障害だ。
物理的な破損によって、脳は機能を低下させてしまい、様々な障害がおこるのだ。。
そのうちの一つが「特定のモノに意識を向けられない、集中力が続かない、すぐに気が散る」といった障害だ。
高次脳機能障害の3つの障害
- 記憶障害(記憶できない、思い出せない)
- 注意障害(注意力散漫、根気が続かない)
- 遂行障害(計画や段取りを考えたり、手順どおり実行できない)
注意障害・注意機能障害のチェックテストとしては、次のようなモノがある。
集中力のチェック
- 任意の数の順唱…6~7ケタの数字を、復唱する
- 任意の数の逆唱…4~5ケタの数字を聞いて、それを逆から復唱する
- 100からの引き算…100から7を連続で引いていく。2や3でも良い。
- 曜日や数字をカウントダウンで、できるだけ早く言う。
- 文字や数字、☆や×などの簡単な図形などがたくさん書かれた紙から、指定された文字や数字、図形に印をつけていく。
集中できずに止めてしまったり、間違いが多いと注意力が低い状態だということになる。
注意障害のリハビリ 集中力のトレーニング
集中力が続かない注意障害・注意機能障害のリハビリには、どういうモノが使われるのか。
色んなサイトや本を見る限り、比較的簡単な方法が多い。
たとえばチェックテストにも使われる「100から7を引いていく」という方法。
集中力が無い場合は、7ではなくて1を引くとか2を引くとかから始めて、だんだん引く数を大きくしていく。
また指定した数字や記号を消していくという方法。
これはキャンセレーション訓練という方法で、ランダムに並べた数字や文字の中から、「2」と「7」を見つけて消すという課題だ。
消す文字は、数字や文字(かな/漢字)だが、最初は1種類だけから始め、3コとか4コを指定して消していく。
こういった訓練は、選択性注意力のトレーニングになるが、これだけでは不十分だ。
というのも注意力・集中力には、大きく分けて4つのタイプがあって、どれも重要だから。
集中力というのは、一つのことに集中したり、根気よく続けるだけはなくて、同時に並行して2つ以上の作業を行ったり、やることをどんどん切り替えたり…などといったコントロールも重要なのだ。
そのため、集中力の無い生徒が居たとしても、どういう集中力が無いのかを見極める必要がある。
集中力自体が全く無いのか、それとも集中力はあるが一つのことしかできないのか。
子供の注意力不足に応じて、集中力のトレーニングの内容を変えないといけない。
しかもやることは単調で無意味な作業も多いので、子供が飽きないようにうまく導かねばならない。
注意機能障害の分類
- 選択性注意障害…関心のあるモノや、注意すべきモノに注意を向けられない
- 持続性注意障害…注意力を持続させられない
- 分配性(分割性)注意障害…複数の作業を平行してできない、順序立てられない
- 転換性注意障害…一つのことに集中してしまい、それ以外のことに切り替えられない