ニューロン(神経細胞)の成長にDHAが必要なわけ
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脳はニューロンと呼ばれる神経細胞と、グリア細胞と呼ばれる細胞でできている。
ニューロンは電気信号が走る細胞で、脳の働きの殆どはニューロンの仕事だ。
このニューロンの分化や発達で、重要な栄養素がDHAという油だ。
というのも通常の細胞の細胞膜は、リン脂質と呼ばれる物質でできているが、ニューロンの細胞膜のリン脂質には、特別にDHAが必要だからだ。
ニューロンというのは他の細胞と違って、樹状突起と軸索と呼ばれる部分がある。
樹状突起は、他のニューロンからの信号を受けとるための突起だ。
そして軸索は、他のニューロンに信号を送るためのラインになる。
つまりニューロンの仕事というのは、樹状突起でたくさんの信号を受けとり、ある条件で別のニューロンに信号を送ることだ。
そしてニューロンは常に、別のニューロンとの接続を更新して、接続の組み替えを行っている。
信号が活発に流れるニューロンは、どんどん腕を伸ばして、たくさんのニューロンとつながる。
そのため、細胞膜の材料となるDHAがたくさん必要になるわけだ。
ニューロン(神経細胞)の模式図
アラキドン酸はなぜ脳の成長に必要なのか
脳はニューロンという神経細胞と、グリア細胞という2種類の細胞でできている。
ニューロンは樹状突起と軸索を伸ばして、別のニューロンと複雑につながりあい、電気信号をやりとりすることで、モノを考えたり判断したりする。
一方、グリア細胞というのは、ニューロンの10倍以上ある細胞で、ニューロンを手助けする役割を持つ。
グリア細胞にも3つのタイプがあり、
- アストロサイト
- オリゴデンドロサイト
- ミクログリア
アストロサイトというグリア細胞は、ニューロンに栄養素を送る仕事をする。
普通の細胞は毛細血管から、しみ出る栄養素を取り込んで成長したり活動する。
しかしニューロンは電気信号を送る細胞なので、毛細血管に近付くと漏電がおこってしまう。
そのためアストロサイトは、脳の毛細血管とニューロンの間に橋を架けるようにまたがって、毛細血管とニューロンが接触しないようにしている。
それと同時に毛細血管から出てくる栄養素を、ニューロンに橋渡しする仕事をしているのだ。
脳のエネルギー源のブドウ糖やケトン体は、アストロサイトを通ってニューロンに送られる。
ニューロンの細胞膜の材料のDHAや、興奮性シナプスに必要なグルタミン酸も、アストロサイトを通ってニューロンに送られる。
その他にはGABA(ギャバ)やグリシン(アミノ酸)が、アストロサイトを通ってニューロンに送られる。
2番目のオリゴデンドロサイトは、ニューロンの軸索に巻き付いている「ミエリン鞘」を作っている。
これは絶縁体の働きをしているが、ニューロンの伝達速度をコントロールしているらしい。
また3番目のミクログリア細胞は、脳内で白血球の働きをしているらしい。
これらのグリア細胞を作るのに必要なのが、アラキドン酸という脂肪酸なのだ。