甘いモノは、子供を狂わせる
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子供がなりやすい依存症と言えば、一番に思い浮かぶのが、「甘いもの依存症」だろう。
小さい子供に甘いモノを与えるのは、非常にリスクが高くて、テンカンなどの原因にもなりかねない。
子供が喜ぶからといって、毎日甘いモノを与えていると、それが依存症を引き起こして、甘い物なしでは我慢出来なくなる。
そして禁断症状や離脱症状によって、キレたり暴れたりする子供になる。
日頃から甘いものを飲み食いしている子供が、なぜキレたり暴れたりするようになるのか。
これは1970年代くらいから、アメリカなどで問題になっていたことだが、なかなかその原因がよく分からなかった。
なのでいろんな学者や研究者が、いろんなことを言ったりしていた。
たとえばある学者は、甘いモノを飲み食いすると、それを消化するためにビタミンB群が不足して、それでキレやすくなるんだと主張した。
甘い飲み物や食べ物は、カロリーだけがあって、ミネラルやビタミンがほとんど含まれないので、「空のカロリー」で栄養不足になる。
甘いもので満足して、野菜を食わなくなるため、それで心身のバランスを崩すのだと主張した。
また別のある学者は、心の安定には、カルシウムが重要な働きをするが、甘いモノの飲み過ぎ食べ過ぎで、カルシウムがどんどん体内から抜けて、それでキレやすくなるのだと主張した。
さらに別の学者は、こういった食べ物は、食物繊維などが含まれていないから、栄養素の吸収スピードが速すぎて、それが大きな問題を引き起こすのだと主張した。
こういった様々な主張が行われたが、どの主張も今ひとつ説得力に欠けていた。
日本で開発された異性化糖が原因?
毎日、甘いモノを与えて育った子供は、キレやすく暴れやすい子供になる。
これが大きな問題となったのは、1980年前後くらいのことだった。
と言うのも実は、この頃から、甘い飲み物が世の中に、あふれ始めたからだ。
70年代頃の世界というのは、慢性的な砂糖不足だった。
というのも砂糖の原料となるサトウキビは、亜熱帯性の作物で、大きく育つので、非常に限られた条件でないと、大量生産出来なかったからだ。
地中海のシチリア島や、台湾・沖縄、キューバなどの島国など、日差しが強く、雨が多く、ミネラルが十分ある土壌でないと、なかなかしっかり育たない。
しかも砂糖は必ずしも必需品ではないため、他の穀物や作物の栽培に適さないような、そういう土地でないと栽培されてこなかった。
そのため、砂糖は高価な調味料で、そんなにたくさん使えるものではなかった。
なので70年代まで砂糖に替わる人工甘味料の開発競争が起こっていた。
ところが日本で画期的な技術が生まれ、それがアメリカなどで急速に広まった。
それが「異性化糖」(いせいかとう)と言うものだ。
異性化糖というのは、簡単に言うと、トウモロコシや芋などのデンプンから、非常に甘い液糖を作るという技術だ。
デンプン(炭水化物)というのは、ブドウ糖が無数につながったもので、これにある酵素を作用させると、全部ブドウ糖に分解できる。
このブドウ糖を別の酵素を使って、果糖に変えると、非常に甘い糖蜜になる。
砂糖はブドウ糖と果糖が結合したものだが、甘みは果糖だけの方が甘いため、果糖の割合を増やすと、非常に甘くなるわけだ。
これがコーラや炭酸飲料に適していたため、1970年代の後半から、甘い飲み物にどんどん使われた。
その結果、コーラや炭酸飲料などを、毎日ガブ飲み出来るようになったワケだ。