甘い飲み物は、血糖値を急上昇させる
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異性化糖の技術が開発されて、砂糖不足が解消したアメリカ。
甘いコーラや炭酸飲料を、いくらでもガブ飲み出来るようになった。
そんな頃から問題になり始めたのが、「キレたり暴れたりする子供や若者」だった。
そのため、子供や若者がキレるのは、異性化糖などが入った飲料や、彼らが大好きなジャンクフードなどに原因があるのではないかと疑われた。
しかし何がどう作用して、問題を引き起こすのかは、なかなかハッキリしなかった。
ところが90年代末くらいから、半導体技術が飛躍的に向上し、センサーやコンピューターが急激に発達・高度化したことで、原因らしきモノが分かり始めた。
それが「血糖値の急上昇・急降下」と、「砂糖依存症・甘味依存症」だ。
まず、子供や若者が食べているジャンクフードのほとんどが、糖分と塩分と炭水化物でできている。
このうち、糖分と炭水化物は、血糖値を上げる栄養素だ。
血糖値というのは、血液に含まれるブドウ糖の濃度のことだが、血糖値が上昇すると満腹になる。
逆に血糖値が下がると空腹になり、食べ物を探し始めると言うことが起こる。
健常者であれば食後30分くらいから血糖値が上がり初め、2時間後がピークになる。
というのも炭水化物は、糖がたくさんつながった多糖類で、吸収されるまでに、時間がかかるからだ。
炭水化物は、人間に吸収される「糖質」と、吸収されない「食物繊維」でできている。
吸収される糖質は、唾液アミラーゼで分解されて、一部は麦芽糖(マルトース)という二糖類に分解される。
ご飯やパンなどを口の中でずっと噛んでいると、だんだん甘くなってくるのは、このせいだ。
さらに膵液に含まれるアミラーゼで、デキストリンとマルトースに分解され、小腸の絨毛突起の表面で、ブドウ糖・果糖・ガラクトースに分解され、ここで初めて体内に吸収される。
ところが異性化糖は、すでにブドウ糖と果糖に分解されているため、時間がかからず吸収され、すぐに血糖値を上げてしまうのだ。
グルコース・スパイク 血糖値の急激な変化は危険
炭水化物を食べると、血糖値が上がり始め、満腹感を得る。
ただし炭水化物を吸収するには、30分以上の時間がかかり、そこから血糖値が上がっていく。
血糖値のピークは2時間後で、そこから下がり始めて、そのあと数時間ほどすると、また空腹を感じるようになる。
これが普通の食事のパターンだ。
ところがコーラや炭酸飲料などの、冷たくて甘い飲み物に使われる果糖ブドウ糖液糖(異性化糖)は、既に吸収出来る形になっており、急激に血糖値を上げてしまう。
そして吸収が速い分、血糖値が下がるのも早くて、すぐにまた物足りなくなってしまう。
こういう風に血糖値が急上昇し、そのあと急降下が起こることを、「グルコース・スパイク」という。
そして血糖値が急激に下がると、軽い低血糖症が起こって、汗をかいたり、不安になったり、動悸がしたり、脈が速くなる。
また頭痛や 眼のかすみが起こり、空腹感や眠気が起こったりする。
普通は、血糖値が上がると、アドレナリンなどを分泌するオレキシン作動ニューロンが止まって、眠くなったり集中力が無くなる。
逆に血糖値が下がると、目がさえて集中力が増す。
しかしグルコース・スパイクで低血糖になると、眠気と空腹が同時に訪れ、それが過ぎると今度は逆に攻撃的になる。
血糖値が下がるとアドレナリンが出るので、それで攻撃的になるのだと考えられる。
つまりコーラや甘い飲み物をガブ飲みすると、急激に血糖値が上がって眠くなるそのあと急激に血糖値が下がって、静かになったと思ったら、急に攻撃的になる。
キレる子供や若者の行動は、こうしたグルコース・スパイクで説明出来るというわけだ。
そして他に説得力があるのが、砂糖依存症の禁断症状・離脱症状説だ。