学習障害 できない子供をどうすべきか記事一覧

成績を短期間で上げるのは簡単、、と前回は書いたが、これはあくまでも問題を抱えていない子供の場合だ。家庭学習で基礎学力がない子供の場合、塾でそれを補ってやれば、成績を上げることが出来る。ただし家で勉強しない癖がついていると、塾側ではどうしようもない。経済的な負担は増えるが、塾に来る回数を増やしてもらうしかない。そしてまた、別の問題もある。それは「学習障害」という問題だ。成績が悪い子供の多くは、なんら...

学習塾に、学習障害を抱えた子供を入れるのかどうか、という場合、判断は非常に難しい。たとえば発達遅延を伴う場合、これは塾ではどうすることも出来ないことが多い。ADHD(注意欠陥・多動性障害)がある場合、基本的に塾でどうこうなる問題ではない。注意欠陥・多動性障害というのは、授業中、じっとしていられないでウロウロしてしまう障害で、一般的な学習障害とは全く異なるモノだと考えられているようだ。塾に受け入れる...

識字障害をもつ子供の場合、とにかく漢字の読み書きを徹底してトレーニングをする必要がある。音声と文字という記号の対応関係がうまく脳内に作れていないので、それを作らないとどうしようもない。小学校時代に習う漢字は約1000字だが、これをまず徹底的に練習する。中学生の場合は、中学の漢字も並行して練習させる。大事なのは、黙読でやらないこと。識字障害の場合、音声と文字が結びつかないわけだから、音声と文字の対応...

識字障害を抱える子供は、英語圏では15%くらいいると言われている。日本では10%未満といわれているが、これは日本語という言語が表音文字を使うから、発見される率が低いだけなのかも知れない。小学校時代、親が子供の勉強を見てやっている家庭では、言葉の読み書きや辞書調べなど、勉強法は身に付いているので、発見されないだけなのかも知れない。逆に、家庭に子供用の辞書や図鑑などがない家庭では、識字障害がもろに出て...

識字障害(ディスレクシア)があると、少し文字が読めないので本が読めない。教科書は当然読めないし、参考書も読めない。これはトレーニング不足に由来するものだけど、なかなかうまく解消することが出来ない。変な話、文字などをゆっくりと読むことに脳が慣れてしまっている。運動神経が悪いわけではないので機敏だが、文字の読み書きに時間がかかる。そうして読み書きに時間がかかるために、ついつい気が散る。問題を解くスピー...

学習塾の場合、先取り学習が一つの売りだ。先取り学習というのは、学校で習うより先に勉強させるということだ。中学校などの場合、定期テストの直前になっても、試験範囲まで勉強が進んでいない事が良くある。学校行事やインフルエンザによる学級閉鎖など、事情は様々だろうが、特定のクラスだけ遅れることもある。だからといって昨日習ったばかりのことを今日テストされても、飲み込みの悪い生徒は答えられないのが普通だ。なので...

塾で生徒を教えていると「できない子供」が問題になる。できない子供というのは、できないのだから、塾にとっては二重の問題を抱えると言うことになる。一つは「何で成績が上がらないんだ」と親御さんに怒られるってこと。もう一つは「できない子供が通っている塾は、できない塾だと思われる」ってこと。これって塾側にとってはかなりのリスクだから、大手の塾では、入塾テストなどを行ってあらかじめ子供の学力を見ることが多いよ...

子供は、成長して時期が来ないとどうしても理解できないことがある。これは「ロバスト性」と呼ばれる現象だ。ロバスト性とは「頑強性」と訳されるが、外からいくら働きかけても、頑として変わらない性質のことだ。たとえば幼稚園児くらいの子供は、時間の概念がまだよく分からない。「1時間だけ待とうね」と言い聞かせても、「まだ?」「まだ?」と何度も尋ねてくる。幼児にとって、1時間が何を意味するのか分からないので、何を...

子供の脳は10歳くらいまでは、あまり抽象的な思考ができない。モノを比べることも難しいし、面積や体積と言った概念も、まだまだ理解できる能力が無い。脳の神経細胞が十分に発達しておらず、速さや濃さと言った概念は、中々理解する事ができないのだ。というのも脳は、3歳くらいまでは、神経細胞の数がどんどん増える。これは何にでも対応できるように、とにかく数を準備しておくためらしい。しかし3歳から7歳くらいまでの間...

脳はニューロンと呼ばれる神経細胞と、グリア細胞と呼ばれる細胞でできている。ニューロンは電気信号が走る細胞で、脳の働きの殆どはニューロンの仕事だ。このニューロンの分化や発達で、重要な栄養素がDHAという油だ。というのも通常の細胞の細胞膜は、リン脂質と呼ばれる物質でできているが、ニューロンの細胞膜のリン脂質には、特別にDHAが必要だからだ。ニューロンというのは他の細胞と違って、樹状突起と軸索と呼ばれる...

脳の神経細胞の数は、生まれた前後から急激に増える。どんどん新しい神経が作られ、膨大な数の神経が作られる。これを神経新生とかニューロン新生と呼ぶ。しかしその後は間引き現象が起こり、ニューロンの3割程度だけが生き残る。そのため、脳の神経細胞は死滅する一方で、増えないものだと考えられてきた。ところがアルツハイマー病などの研究が進み、脳の中心部で記憶を司る「海馬」(かいば)やその外側にある「側脳室」という...

グリア細胞とは、脳の大部分を占める細胞だ。モノを見聞きしたり考えたりするのは、ニューロン(神経細胞)の働きであるが、グリア細胞はその手助けをする役割を持つ。しかしグリア細胞の役割は、21世紀になるまであまりよく分からなかった。20世紀にはニューロンの隙間を埋め、栄養を橋渡しする役割くらいしか、役目がないと考えられていた。しかし近年は、グリア細胞が、脳の環境を整える鍵を握っていることが分かってきた。...

頭が良くなるという栄養素には、様々なモノが挙げられている。ただし脳のニューロン(神経細胞)には、限られた栄養素しか届かない。そのため、直接的に頭を良くする栄養素は、非常に限られた物質だけだ。というのも脳の毛細血管の血管壁は、ウイルスや病原菌を通さないように、特別に密にできているため、大きな分子は通りにくくなっている。またニューロンは電気で信号をやりとりするため、毛細血管に接触して漏電しないようにア...

感覚フィルターというのは、脳のフィルター機能の一つだ。脳のフィルター機能は、五官から受け取った情報にフィルターをかけて、そのとき時に必要な情報だけ通すという機能だ。感覚フィルターが上手く働いていないために、注意力が無くて、勉強ができない子供も多い。たとえば「カクテルパーティ効果」と呼ばれる現象がある。カクテルパーティでは、大勢のゲストがテンでバラバラに会話していて騒々しいのに、なぜか話したい人の声...

勉強ができない子供というのは、たいていの場合、集中力がないと言われる。そして親や先生から「集中しろ」なんて言われる。ADHD(注意欠陥・多動性障害)なんかも、注意力が続かない、気が散るなんていう症状がメインの症状だね。しかし集中力というのは、いったい何なのか。集中力は、どうしたら出るのか、まとまった説明は滅多に見ない。ということで、逆の「集中力が無い症状」から、集中力について考えてみよう。まず集中...

集中力が無い、集中力が続かない、すぐに気が散ってしまう。こういうことは、勉強ができない生徒の特徴として、よく挙げられる。ところが同じ事は、高次脳機能障害の注意障害でも起こる。高次脳機能障害とは、脳に外傷を負ったり、脳卒中(脳出血)・脳梗塞等によって、脳の一部が破壊された時に起こる障害だ。物理的な破損によって、脳は機能を低下させてしまい、様々な障害がおこるのだ。。そのうちの一つが「特定のモノに意識を...

生徒の注意力が散漫で、集中力が続かない。こういった場合、注意障害のリハビリの方法が役に立つかも知れない。注意障害というのは、外傷や脳卒中などで脳が傷んだ結果で起こる障害だが、集中力が無い子供にも似たようなことが起こる。なので恐らく同じ方法が、生徒の注意力・集中力アップに役立つのではないか。そしてこれがまた、算数パズルや学習パズルが頭を良くするのに役立つ根拠でもあるのだろうと思う。ということで、簡単...